聞こえていますか?見えていますか? 子どものSOS
近年、子どもへの人権侵害が深刻な問題になっています。
親による虐待行為、学校でのいじめや体罰など、様々な形で子どもを取り巻く環境が脅かされています。
子どもに対する人権侵害の大きな特徴は、周囲の目に留まりにくく、また、被害者である子どもも外部に訴えることができなかったりすることです。
特に、幼児や子どもに対する虐待行為では、悲惨な結末になって初めて気づくという例が少なくありません。事実、最近ではそういった事件が相次いでいます。
児童虐待とは、親や周囲にいる大人たちが、子どもに対して自身の権力を乱用するなど暴力をふるい、また威圧的な態度で子どもの権利を侵害することです。
このような状況から、いち早く子どもたちを救うことができるのは、地域にいる身近な私たちなのです。人権を尊重し、子どもの安全や心の豊かさを取り戻すため、地域の一員としてみなさんにもできることがあるのです。
これからの未来を担う子どもたちの人権について考えてみませんか。
みなさんの目が子どもを虐待から守ります
いつも見かけるお子さんの様子がおかしい・・・。顔や手足に傷ややけどと思われる跡がある・・・。いつも以上に不潔な衣服を着ている・・・。これらは、虐待行為を受けていると疑わしい子どもの特徴です。
しかし、このような実態を第三者が発見するというのはとても難しく、たとえ虐待行為を発見したとしても、親は「しつけ」と称して否定するのがほとんどです。
そのような状況でも、同じ地域に住む私たちが、普段から子どもに目を向け、危険信号を見逃さなければ、悲しい結末を迎えることなく、子どもを虐待から救うことができるのです。
児童虐待とは?
般的に、次の4つに分類されています。
- 殴る、蹴る、つねる、縛る、タバコの火を押しつけるなどの身体的虐待
- 性的ないたずらをする、性的行為を強要するなどの性的虐待
- 罵声を浴びせる、言葉による脅し、極端に無視しつづけるなどの心理的虐待
- 適切な衣食住の世話をしない、けがをしても病院に連れて行かない、家に閉じ込めるなどのネグレクト(養育の拒否、放置)
これも虐待?
「子どものくせに・・・」「生まれてこなければよかったのに・・・」「男の子(女の子)だったらよかったのに・・・」
こういった、大人が普段何気なく口にする言葉でも、あなた自身、子どものころに言われて傷ついたことはありませんか?
実は、これも虐待のひとつなのです。
しつけと虐待の違い?
虐待は主に家庭で行われていることが多く、親自身も「しつけ」と思っていても、子どもの心身に悪影響を及ぼすものであれば、それは虐待です。つまり、「子どもの視点」から虐待かどうか判断することが重要です。
なぜ虐待をしてしまうのか?
虐待は決して特別な家庭で起こるとは限りません。子育てが思うようにいかなかったり、子どもへの過剰な期待から、つい手をあげてしまったりと、ささいなことから始まる場合も少なくありません。
また、夫婦仲の不和や経済的な生活不安からも虐待が生じやすいのです。ですから、虐待を起こしてしまう可能性は誰にでもあると言えます。
虐待に気づくには・・・
このような虐待から子どもたちを守るには、地域に住む私たちが日ごろから子どもに目を向け、子どもが発する虐待のサインを見逃さないことが大切です。
虐待に気づくためのポイント
子どもの様子として
- 不自然な傷、やけどが多い。
- 衣服や身体が以上に汚れている。
- 親といるとおどおどし、表情が乏しいなど。
親の様子として
- 子どもに対し極端に冷たく乱暴である。
- 酒や薬物などの乱用があり暴れる。
- 理由もないのに登校させないなど。
また、家からたたく音や叫び声が聞こえたりすることも、虐待と疑わしい状況のひとつです。
見てみぬふりをしていませんか?
自分が直接、虐待をしていなくても、家族や同居者などが虐待行為をしているのを黙認、また放置することも虐待と言えます。
虐待かな?と思ったら・・・
児童虐待は、早期に発見し、対処しないと取り返しのつかない結果を招くことがあります。
もし、身近で気になる子どもがいたら、そして、虐待かな?と感じたら、ためらわずにすぐ最寄の相談機関に連絡してください。また、様子がおかしいなぁと思った子どもに、声をかけたりすることも有効な手段のひとつです。
通報するとどうなる?
警察や市役所、関係機関が連携をとりながら、虐待を受けている恐れがある場合は立入調査し、必要に応じて子どもを保護します。
通報は、子どもを守るためのものです。当然のことながら、通報した人が特定されないよう秘密は堅く守られます。
子育ても家庭のことも、思いどおりにいくとは限りません。決して一人で悩みを抱え込まないでください。一緒に考えてくれる人がいると随分楽になります。