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知っていますか「見た目問題」~コミュニケーションで繋ぐ“気持ち”~

印刷用ページを表示する掲載日:2018年3月5日更新
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人と人がコミュニケーションする際、その場で相手の印象がある程度決定づけられると言っても過言ではありません。

アメリカの心理学者、アルバート・メラビアンは、好意・反感などの態度や感情のコミュニケーションにおいて、「視覚」「聴覚」「言語」などの情報が矛盾して与えられたとき、聞き手が話し手の態度や感情を判断する要素として、(1)会話の中身やその情報が7%、(2)声の調子や話し方、アクセントなど「聞いた感じ」が38%、そして、(3)相手の顔の表情やしぐさ、髪型、服装など外見が55%であると提唱しました。(メラビアンの法則) メラビアンの法則の画像

この法則がコミュニケーション全般に適用されるとは言えませんが、このようにして私たちの人間関係が形成されていく社会では、事故や病気によって顔や身体が変形、欠損したり、生まれつきあざがあったり、やけどの痕、脱毛など「見た目」に症状がある人たちが、周囲の人たちからジロジロ見られたり、心ない言動に傷つけられたりしています。

こういった人たちが抱える問題については、これまで社会的に関心が低く、問題視されてきませんでした。そのため、日本における当事者の正確な人数もわかっていませんが、医療機関や当事者団体による公表、海外の統計などから、日本には80万~100万人いるとされています。

アルビノ/ユニークフェイス・・・

「見た目問題」とは、見た目、外見的な症状があるがゆえに、周囲から理解されず偏見や誤解を招き、差別やいじめを受けてしまうという問題です。

例えば、生まれつきメラニンという色素を作る機能が損なわれているために皮膚や髪の色素がない、またはほとんどないというアルビノや、何らかの事故で顔や身体に大やけどを負ったり、大きなアザに覆われている、先天的に髪が抜けて生えないなど、さまざまな関連症状を抱えた人たちがいます。

このような当事者の中で、自分たちのことを「ユニークフェイス」(固有の顔)と名乗り、外見ではなくその人の個性を尊重しようと活動している人たちもいます。

関連症状

単純性血管腫・口唇口蓋裂・ケロイド・アルビノ・顔面神経麻痺・白斑・斜視・眼瞼下垂・海綿状血管腫・リンパ管腫・バセドウ病・アトピー性皮膚炎・交通事故や手術後の傷痕など。

ホンネとタテマエ

しかし、私たちの社会を見てみると、果たして現実はどうでしょうか。“タテマエ”では、「人は外見ではなく、中身が大切だ」とよく言われていますが、実際には、コミュニケーションで相手の印象を決定づける3つの要素を見ても、顔の表情やしぐさ、髪型、服装など外見で人を判断しているのが“ホンネ”ではないでしょうか。

生きていく大変さ

多くの当事者は、周囲からジロジロ見られたり、すれ違いざまにひどいことを言われたり、学校では「気持ち悪い」「うつる」と言われていじめられたりしています。就職の面接では断られ、会社でも「取引先に迷惑がかかる」と言われたりして心に深い傷を負い、自分に自信が持てなくなったり、人とコミュニケーションするのが苦痛になったり、この社会で生きていく大変さを実感しておられます。

「見た目問題」では、このような社会の壁に阻まれて、自分の能力を発揮できずにいる人も少なくありません。また、「見た目」に症状がある人の多くは、機能的な障害がないため公的な支援がなく、難病に指定されにくいうえ軽く考えられがちです。つまり、「見た目」によって周囲から注目されながら支援の場が少なく、健常者と障がい者の中間的な存在でその狭間で揺れ、内面では孤立になりがちなのです。

どう向き合っていくのか

当事者の人たちとどのように接するかは、相手との関係性の密度や置かれた状況などによっても変わってきます。自分の症状を「聞いてほしい人」、逆に「聞いてほしくない人」など当事者によって違ってきますが、問題解決の第一歩は、この問題について全く知らない、私には関係ないと思うのではなく、当事者の立場に立って気持ちを理解する、想像するということと、そしてこの問題を「正しく知る」ということが大事です。

一方、当事者は、普段の生活に加えて、入学、恋愛、就職、結婚などの人生の大切な節目でも「見た目問題」にぶつかるので、周囲の人に自分の症状をどう理解してもらうか。それと同時に、当事者自身が症状とどう付き合っていくのか、また孤立化を防ぐための当事者どうしのつながりと支援のあり方も大きな課題となっています。

コミュニケーションで繋ぐ

「見た目」によって生じる人と人の間に立ちはだかる大きな壁を乗り越え、良好な関係性を築いていくには、これまたコミュニケーションしかありません。それなしにお互いに理解しあうことは不可能です。そういう意味でコミュニケーションは、見た目で人の印象を決定づけてしまう場となる反面、人と人の深い相互理解を育み、心と心を繋ぐ最たる場であるとも言えます。

ありのままの自分

私たちは、社会の一員として多様な人間関係の中で生きているかぎり、他人のことに無関心になるのではなく、一人ひとりが抱える問題やその気持ちに寄り添い、相手のことを思いやる心を培うことが、今必要とされています。

そして、当事者の人たちが堂々と安心してカミングアウトができ、「見た目」ではなく、その人の個性を尊重し、誰もがありのままの自分で、自分らしい生き方を楽しむことができる社会が理想です。

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