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浄化槽事業の推進について

印刷用ページを表示する掲載日:2023年10月5日更新
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下水道事業と浄化槽事業

排水イメージの画像

それぞれの特性

本市は、生活排水100%適正処理を早期に達成するために、公共下水道事業と浄化槽整備推進事業の2つの手法を活用し、生活排水処理施設の整備を進めています。

下水道事業は、家庭の生活排水をそのまま管路で下流の処理場(大井水みらいセンター(藤井寺市)/狭山水みらいセンター(大阪狭山市))に流して集中的に浄化処理します。大規模な設備投資が必要で工事期間が長くなり投資効果の発現が遅くなりますが、コスト面では市街化区域など市街地を形成するなど比較的人口密度の高い地区に適しています。

一方、浄化槽事業は、各家庭の生活排水をその敷地内に設置する浄化槽で個別に浄化処理します。大規模な設備投資が不要で個々の工事期間は短く投資効果は迅速に発現されますが、コスト面では小集落が散在するなど比較的人口密度の低い地区に適しています。

国では、下水道や浄化槽それぞれの特性を活かした適切な生活排水処理のあり方を検討されています。

事業比較

  下水道事業 浄化槽事業
事業対象 全施設 住宅・集会所・寺社など
処理形態 集中処理(狭山・大井) 個別処理(各戸に浄化槽設置)
処理水の放流先 東除川(狭山)、大和川(大井) 設置箇所付近の側溝・水路
H23年度放流水質の状況
生物科学的酸素要求量(BOD)※
大井 1 mg/L以下(高度処理)
狭山 1 mg/L以下(高度処理)
狭山 5.7 mg/L(通常処理)
【放流基準 20 mg/L】
市設置 4.2 mg/L(平均)
寄付 17.8 mg/L(平均)
全体 6.1 mg/L(平均)
【放流基準 20 mg/L】
参考 H23年度 石川(川西グラウンド付近)0.5~2.1 mg/L
排水設備 個人負担・個人管理 個人負担・個人管理
接続施設 最終桝 浄化槽
施設整備・管理者 市整備・市管理 市整備・市管理
整備時の分担金
(個人負担)
1桝につき12万円 (市街化調整区域) 5人槽71千円、7人槽79千円、10人槽98千円
既設の合併浄化槽 個人負担により撤去処理 市への無償寄付
管理手間 点検等なし 年4回の保守点検と年1回の法定検査、清掃を実施
使用料(個人負担)
(25年10月時点)
2ヶ月の使用水量が50m³の場合
5,986円/2ヶ月
2ヶ月の使用水量が50m³の場合
3,896円/2ヶ月
月々の電気代(個人負担) 原則なし ブロア電気代850円/月(5人槽)~2,200円/月(10人槽)程度
使用開始の時期 下水道管埋設の翌年度より使用可能 浄化槽設置と同時に使用可能

※水質を評価する最も一般的な指標で、水中の有機物が微生物により分解されるときに消費される酸素の量で表す。有機性の汚れが大きければBODの値は大きくなる。

事業区域

下水道事業は下水道法に基づき、浄化槽事業は本市浄化槽整備推進事業に関する条例に基づき、それぞれの事業区域を定めています。下図は、平成25年4月既にサービスを提供している区域です。


事業区域の画像

分担金と使用料

市街化調整区域において下水道又は浄化槽を使用する場合、排水設備又は浄化槽を設置する際に、下記の分担金を一度きりお支払いいただきます。

  下水道 浄化槽
分担金 公共ます1箇所につき120,000円 5人槽 71,000円
7人槽 79,000円
10人槽 98,000円
11人槽以上 設置費の100分の10に相当する額
減免制度 集会所等について分担金を減免する制度があります。

また、下水道又は浄化槽の使用開始後は、使用水量(上水道+井戸水)に応じた使用料をお支払いいただきます。

  下水道 浄化槽
使用料
H25.10より
【例示】2ヶ月の使用水量が50m³の場合、
1年間の使用料は35,916円です。
【例示】2ヶ月の使用水量が50m³の場合、
1年間の使用料は23,376円です。
【参考】
電気代
家庭用ポンプを設置する場合の電気代が
関西電力からの請求に含まれます。
家庭用ポンプを設置する場合の電気代及び
ブロワ(送風機)の電気代が関西電力からの請求に含まれます。

浄化槽事業を推進する理由

公共サービスの早期提供

従来、生活排水処理施設といえば下水道中心で、浄化槽は下水道が整備できるまでの仮の処理施設とされていましたが、浄化槽の性能が向上するにつれて、浄化槽が生活排水を処理する十分な施設であることが認められるようになりました。

本市は、生活排水処理の推進を図るため、平成16年に下水道一辺倒の施策を見直し、下水道事業と浄化槽事業を両輪にした生活排水対策を進めています。

これにより、最も整備が遅くなるはずであった東条地区で、既にほとんどの家庭が水洗化され、あわせて地域を流れる側溝や水路がすっかりきれいになりました。

効率的な設備投資

下水道事業は、各家庭の生活排水を遠く離れた処理場まで運ぶ管を道路の地下に埋めます。さらに工事の障害となる水道管を入れ替えたり道路舗装をやり直したりと多額の設備投資が必要です。それに比べて浄化槽事業は、家庭の希望に応じて整備するので過剰な設備投資を抑制し、効率的な資金投資が行えます。

人口減少社会への対応

下水道事業や浄化槽事業の整備資金は国からの支援と市債(借金)で賄い、その市債は30年間で返済します。国の支援も元を辿れば国債(借金)です。それらの借金は将来の私達の子どもたちに引き継がれます。人口減少問題が大きく叫ばれている中で、子どもたちの将来の負担を少しでも減らすため、必要以上の投資を抑制し、効率性の高い浄化槽を併用することで、本市の生活排水対策全体の財政リスクの低減を図ります。

本市の浄化槽事業の取り組み

平成8年に本市域が水質汚濁防止法による「生活排水対策重点地域」に指定されたことを受けて、同年に浄化槽設置費用補助制度(環境省/浄化槽設置整備事業)を導入しました。これは瀬戸内海の水質の改善を目指す国が地域の自治体とともに、下水道の整備が当分の間見込まれない地域の家庭から排出される生活排水による水質汚濁の改善を図るために、個人が設置し管理する浄化槽の設置費用を助成する制度で、本市は平成25年度まで実施していました。府内では河内長野市、河南町、千早赤阪村、柏原市、和泉市、島本町、貝塚市、熊取町、泉南市、阪南市、岬町が実施(平成27年度)しています。

平成15年3月には、平成22年度に府内の生活排水処理適正化を100%にするという目標を掲げた「大阪府生活排水処理実施計画」が策定され、これを受けて本市も平成16年に「新富田林市生活排水対策基本計画」を策定し、本市南部の東条地区等を市設置型浄化槽整備推進事業(環境省/浄化槽市町村整備推進事業)により整備する区域と定めました。この事業は市が区域を定めて市の公共施設として家庭に浄化槽を設置し管理する事業で、府内では本市と柏原市、高槻市、茨木市、和泉市が実施(平成27年度)しています。なお高槻市、茨木市は市による直営方式で、本市、柏原市、和泉市が民間企業によるPFI方式を採用しています。

大阪府の地図の画像

図はクリックで拡大します。

浄化槽事業(東条地区)の実績

第一期浄化槽事業(東条地区)では、平成17年から23年までの実質6年間で454基の浄化槽を設置させていただきました。これは当初目標の450基を超え、設置対象家屋550軒の82.5%に達します。下水道整備地区での水洗化率(概ね90%)よりやや低いものの、既に多くの家庭で浄化槽による水洗化が実現しています。

東条地区の整備率の画像

浄化槽の設置申込みから施工まで

PFI事業

本市の浄化槽事業は、民間企業の能力を十分に活用して、効率的かつ効果的に浄化槽を設置し、低廉かつ良好なサービスを提供できるように「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律)に基づくPFI事業として実施しています。本事業を行うために設立された民間企業(株式会社FJS)が、各家庭への案内・相談、工事調整、各種申請手続き、浄化槽設置工事及び保守管理(有期限)を実施します。

この浄化槽PFI事業は本市のほか、全国14市町が実施していますが、当初の設置目標を達成し第二期事業に着手したのは本市のみです。(平成25年度)

申込みと分担金

浄化槽事業区域内で浄化槽の設置を希望される家庭は、株式会社FJS(無料電話0800-200-2220)に申し出していただければ、株式会社FJSが手続きを案内します。 その後、株式会社FJSより本市に浄化槽設置申請書類が提出されると、本市が分担金納付書を発行しますので、その納付書にて下記の金額を納付していただきます。

※分担金は融資制度の対象です。

浄化槽の大きさ 分担金額
5人槽 71,000円
7人槽 79,000円
10人槽 98,000円
11人槽以上 設置費の100分の10に相当する額

浄化槽設置工事と排水設備工事

浄化槽設置のための各種申請手続きと分担金の納付が完了すると、株式会社FJSが浄化槽設置工事を実施します。

浄化槽の設置を希望される家庭は、浄化槽設置工事に併せて便所、台所、洗面、風呂などの水回りの排水を浄化槽につなぐための排水設備工事を家庭の負担で行っていただきます。

排水設備工事については、富田林市排水設備工事指定業者[PDFファイル/391KB]の中から排水設備工事業者をお選びいただき、見積書等をご確認の上、工事契約を行い、排水設備工事を実施してください。

※排水設備工事は融資制度の対象です。

負担区分の画像

融資制度

本市では、排水設備工事費(60万円以内)と分担金の合計について融資あっ旋制度(新築は含まない)を設けています。所定の手続きのうえ本市が指定する金融機関で融資を受けられる場合にその利息を本市が負担するもので、利用者には元金のみを3年間36回払いで返済していただきます。

設置完了検査

浄化槽設置工事と排水設備工事が完了すれば、使用開始届を提出していただいた上、本市職員が伺い便所、台所、洗面、風呂などの水回りと浄化槽とが適切に接続されていることを検査確認します。
浄化槽使用料は、使用開始届提出後最初の水道使用水量検針日より適用します。

既存浄化槽の寄付

浄化槽事業区域内で既に浄化槽(みなし浄化槽(単独処理浄化槽)を除く)を使用されていて、その維持管理を市に移管することを希望される方は、市役所下水道課(25-1000内線262)に申出してください。寄付手続きを案内します。

既設浄化槽寄付承諾申込書類が提出されると、本市職員が便所、台所、洗面、風呂などの水回りと浄化槽との接続状況、浄化槽の動作状況等を調査確認します。異常がなければ、本市による維持管理を開始し、さらに3度の保守点検を経て異常が認められなければ、使用開始届を提出していただきます。

浄化槽使用料は、使用開始届提出後最初の水道使用水量検針日より適用します。

なお寄付の場合は分担金の必要はありませんが、調査確認の際に異常が確認された場合は申出者の負担で修繕、清掃等を行っていただきます。

4.浄化槽の管理体制

浄化槽の仕組み

便所のし尿のみを処理するみなし浄化槽(単独処理浄化槽)は平成13年度に新たな設置が禁止されましたので、現在設置できるのは国が認定した浄化槽(合併処理浄化槽)に限ります。みなし浄化槽と浄化槽の性能の違いは下表のとおりです。

なお本市の浄化槽事業は、排出汚濁量を国基準の半分に除去する窒素除去型高度処理浄化槽(ハウステック社KBR1)を採用し、管理実績ではさらにその半分の排出水準に抑えています。

排水汚濁量
(g/1人・1日)
便所
(13g)
台所
(18g)
その他
(9g)
合計
(40g)
()汚濁原単位
汲み取り 0g 18.0g 9.0g 27.0g し尿の汚濁のみを100%除去
みなし浄化槽 5.2g 18.0g 9.0g 32.2g し尿の汚濁のみを60%除去
浄化槽 1.3g 1.8g 0.9g 4.0g 全ての汚濁を90%除去

家庭から排出される生活排水は、下図浄化槽の左側から流入し、(1)嫌気ろ床槽第1室、(2)同第2室、(3)好気担体流動槽で汚れを分解除去します。さらにエアーリフトポンプ(泡の上昇流により水面が持ち上がる現象を利用)で(3)好気担体流動槽から(1)嫌気ろ床槽第1室に返送し、槽内循環を繰り返すことで、凡そ3日間をかけて生物分解された排水が、(4)担体濾過槽でろ過されたうえ(5)消毒槽で殺菌処理され水路等に放流されます。

浄化槽イメージの画像

  1. 嫌気ろ床槽第1室
    固形物を絡め取り貯蔵するとともに、嫌気性菌による有機物分解と、脱窒菌による硝化物分解を行います。
  2.  嫌気ろ床槽第2室
    第1室で沈殿ろ過された排水を、さらに嫌気性菌による有機物分解と、脱窒菌による硝化物分解を行います。
  3. 好気担体流動槽(ばっ気槽)
    嫌気ろ床槽でゆっくりと浄化された排水を、好気性菌により有機物を急速分解し、さらに硝化菌によりアンモニアを硝化します。排水は硝化物を分解するため嫌気ろ床槽第1室に返送されます。
  4. 担体濾過槽
    細かな残存浮遊物を取り除くためのろ過を行います。なおKBR1はタイマー式の自動洗浄機能があり、目詰まりによる水質悪化を防ぎます。
  5. 消毒槽
    担体濾過槽でろ過された排水を塩素殺菌し放流します。
  6. その他
    家庭から排出される排水は時間により大きく変動しますが、KBR1は大容量(5人槽370L、7人槽559L)の流入調整能力を有しているため、流入量の時間変化にも安定して対応します。

保守点検

保守点検は法律の定めにより、株式会社FJSの浄化槽管理士(法定資格)が浄化槽本体、ポンプ、送風ブロワなど関連施設の点検、調整、塩素剤の補充などを年4回計画的に行います。点検日は浄化槽上に駐車する自動車等の移動をお願いし、敷地へ立ち入りさせていただきます。また作業時に水道水を使用させていただきます。

法定検査

法定検査は法律の定めにより、浄化槽の管理が適正に行われているかを確認するため、法定検査機関である一般社団法人大阪府環境水質指導協会が年1回計画的に行います。検査日は浄化槽上に駐車する自動車等の移動をお願いし、敷地への立ち入りをさせていただきます。また作業時に水道水を使用させていただきます。

汚泥引抜と清掃

汚泥引抜と清掃は法律の定めにより、本市の指定する清掃事業者がバキューム車を使用して年1回計画的に行います。清掃日は浄化槽上に駐車する自動車等の移動をお願いし、敷地への立ち入りをさせていただきます。また作業時に水道水を使用させていただきます。

管理記録

保守点検、法定検査、汚泥引抜と清掃の作業並びに点検、検査結果は株式会社FJS及び本市が電子データとして整理し、浄化槽の適切な維持管理に役立てています。

使用料の徴収

浄化槽使用料は本市条例の定めにより、水道使用水量に応じた浄化槽使用料を負担いただきます。浄化槽使用料は水道料金と一緒に、口座引き落としやコンビニでの支払いなどでお支払いいただきます。

使用上の注意

  • 一般的な石鹸、洗剤のほか、トイレや風呂用の普通の洗浄剤は使用できます。
  • 紙はトイレットペーパーを使用し、その他のものは流さないでください。
  • 生理用品、紙おむつ等は必ず「汚物入れ」に捨てて処分してください。
  • 野菜クズやゴミ・食用油、犬猫の糞などを流すと異臭の原因になります。
  • 夜間であっても、ブロワの電源は切らないでください。

異常時は

通常の使用状態で、強い異臭や、排水の濁りが生じる場合は、ブロワの停止が疑われます。またブロワの異常振動やいつもより大きな音が鳴るなど、異常を感じられたら、株式会社FJS(無料電話0800-200-2220)にご連絡ください。

浄化槽本体、ポンプ、送風ブロワなど関連施設(排水設備を除く)の点検、修理、部品交換はすべて本市の責任で行い、使用者に修理代金を請求することはありません。

なお、個人が管理する排水設備での詰まりや破損などについては、個人負担となります。

浄化槽事業に関する地元協議等経過

浄化槽事業に関する彼方上地区との協議経過は次表のとおりです。

年月 行為
平成20年2月 生活排水対策に関する説明会≪1自治会≫
5~6月 市設置型合併処理浄化槽に関する説明会≪6自治会≫
6~7月 生活排水対策アンケート調査≪6自治会≫
9月 アンケート調査結果を公表
9月 浄化槽設置可能箇所確認のための現地調査
12月 浄化槽事業方針を7自治会に通知
平成21年3月 新生活排水対策基本計画改訂素案作成
5~6月 生活排水対策に関する説明会≪7自治会≫
6~7月 新生活排水対策基本計画改訂素案・パブリックコメント実施
6~8月 下水道整備を望む要望書≪7自治会・水利組合≫
9月 7自治会から市議会宛請願 「基本計画の凍結・話合いの継続」
10月 彼方上地区生活排水問題協議会・まちづくり協議会発足
11月 第1回彼方上地区まちづくり協議会
平成22年1月 第2回彼方上地区まちづくり協議会
2月 第3回彼方上地区まちづくり協議会
3月 市議会本会会議にて請願一部採択
3月 生活排水対策基本計画(改訂)策定
4月 第4回彼方上地区まちづくり協議会
5月 第5回彼方上地区まちづくり協議会
7月 第6回彼方上地区まちづくり協議会
9月 第7回彼方上地区まちづくり協議会
12月 第1回彼方上地区生活排水専門部会
平成23年  1月 第2回彼方上地区生活排水専門部会
1月 第8回彼方上地区まちづくり協議会(まちづくり講演会)
2月 生活排水専門部会による空き家調査
5月 第9回彼方上地区まちづくり協議会(ワークショップ)
5月 伏見堂水利組合役員と市長が面談
7月 第10回彼方上地区まちづくり協議会(ワークショップ)
11月 伏見堂・横山・嬉地区生活排水処理推進の説明会(彼方小)
11月 第11回彼方上地区まちづくり協議会(ワークショップ)
11月 地区町会長・協議会会長と市長が面談
平成24年1月 第12回彼方上地区まちづくり協議会(ワークショップ)
1月 浄化槽整備推進事業「処理区域」変更告示
3月 第二期浄化槽事業に関する実施方針を公表
3月 第13回彼方上地区まちづくり協議会(ワークショップ)
4月 第二期浄化槽事業に関する特定事業の選定の公表
5月 住民監査請求・区域決定処分取消訴訟提訴
5月 第二期浄化槽事業に関する入札説明書公表
6月 伏見堂水利組合役員と市長が面談
6月 住民監査請求棄却
7月 公金支出差止等訴訟提訴
10月 第二期浄化槽整備推進事業開始
平成25年1月 区域決定処分取消訴訟判決 棄却及び却下
2月 区域決定処分取消訴訟を控訴
7月 区域決定処分取消訴訟控訴審判決 控訴棄却
8月 区域決定処分取消訴訟を上告(最高裁)
12月 区域決定処分取消訴訟 上告棄却(上告審として受理しない)
平成26年2月 公金支出差止等訴訟判決 棄却
3月 公金支出差止等訴訟を控訴
8月 公金支出差止等訴訟 控訴棄却(確定)

区域決定処分取消訴訟について

彼方上地区を浄化槽事業区域と定めたことを不服として、平成24年5月10日に一部住民により提訴された「処理区域決定処分取消等請求事件」は、平成25年1月18日に大阪地方裁判所にて次のとおり判決が言い渡されました。

判決主文

  • 本件訴えのうち、富田林市長がした浄化槽により汚水の処理を行おうとする区域の定めの取消しを求める部分を却下する。
  • 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。
  • 訴訟費用は原告らの負担とする。


原告住民らは地裁判決を不服として平成25年2月4日に控訴されましたが、平成25年7月25日に大阪高等裁判所にて次のとおり判決が言い渡されました。

判決主文

  • 本件訴えのうち、富田林市長がした浄化槽により汚水の処理を行おうとする区域の定めの取消しを求める部分を却下する。
  • 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。
  • 訴訟費用は原告らの負担とする。

原告住民らは高裁判決を不服として平成25年8月6日に上告及び上告受理申立てされましたが、平成25年12月19日に最高裁判所が次のとおり決定しました。

決定主文

  • 本件上告を棄却する。
  • 本件を上告審として受理しない。
  • 上告費用及び申立費用は上告人兼申立人らの負担とする。

訴訟の要旨

原告らの請求内容は次のとおりです。

  • 浄化槽整備推進区域決定の取り消しと、各自50万円の慰謝料を求める。

訴訟の主な争点は次のとおりです。

  • 浄化槽整備推進区域決定の処分性
  • 浄化槽整備推進区域決定による法的利益の侵害の有無等

主な争点に対する大阪地方・大阪高等裁判所の判断は次のとおりです。

  • 浄化槽整備推進区域決定は、区域内住民に浄化槽の設置義務を生じさすものではないので、直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定する行政事件訴訟法3条2項にいう処分に当たらない。
  • 公共下水道設置のコストの大きさ等に照らすと、公共下水道の設置を市町村に対して求める権利が法律上認められていると解することはできず、公共下水道の設置を期待する利益も、特段の事情がない限り法的に保護されるということはできない。なお原告らに特段の事情があるということはない。
  • 市の公共下水道事業計画の処理区域に含まれていない以上、区域内住民の公共下水道の設置に対する期待は、法的根拠を伴わず具体性を欠いた段階のものであり、このような期待が法的に保護されるものとはいえない。
  • 公共下水道が整備されず浄化槽が設置されることによって、原告らに損害賠償の対象となり得るような法的利益の侵害があったとはいえない。
  • 仮に一部の地域においては公共下水道が整備され、他の地域においては公共下水道が整備されないという異なる取扱いがされたとしても、公共下水道が整備されない区域内住民の法的利益の侵害として、直ちに損害賠償を求めることはできない。
  • 浄化槽整備推進区域決定により私費で浄化槽を設置する際の補助制度を利用できなくなるが、浄化槽整備推進事業によって浄化槽を設置できるのであるから、従前よりも不利益な地位に立たされるわけではない。
  • 第一期事業地域では、市の管理する浄化槽のほとんどが法定基準の範囲内であり、全体の平均値も基準を下回っているのであって、一部に基準を上回るものがあっても、適切な対応策を実施することで水質の改善が可能な範囲内の問題にとどまることから、浄化槽が設置されることによって、原告らに損害賠償の対象となり得るような法的利益の侵害があったとはいえない。

最高裁判所の決定理由は次のとおりです。

  • 上告について、民事事件について最高裁判所に上告をすることが許されるのは、民訴法312条1項又は2項所定の場合に限られるところ、本件上告理由は、違憲及び理由の不備をいうが、その実質は単なる法令違反を主張するものであって、明らかに上記各項に規定する事由に該当しない
  • 上告受理申立てについて、本件申立ての理由によれば、本件は、民訴法318条1項により受理すべきものとは認められない。

住民監査請求について

浄化槽区域決定は違法又は重大な職権乱用であるとして、平成24年5月10日に一部住民から提出された「公金支出の停止」と「市長による弁済」を求める住民監査請求に対する監査結果報告書が、平成24年6月29日に出され、浄化槽区域決定は本市の生活排水処理を早急に実現するという目的に沿ったものであり、著しく合理性を欠いているもとは到底考えられず、したがって裁量権を逸脱したものとは言えないとして、請求は棄却されました。

公金支出差止等訴訟(住民訴訟)について

上記住民監査請求の棄却を経て、第二期浄化槽整備推進事業のうち彼方上地区を対象とする公金の支出の差し止め等を求めて、平成24年7月27日に一部住民により提訴された「公金支出差止等請求事件(住民訴訟)」は、平成26年2月21日に大阪地方裁判所にて次のとおり判決が言い渡されました。

判決主文

  • 原告らの請求をいずれも棄却する。
  • 訴訟費用は原告らの負担とする。

原告住民らは地裁判決を不服として平成26年3月6日に控訴されましたが、平成26年8月29日に大阪高等裁判所にて次のとおり判決が言い渡されました。なおこの判決に対する原告住民らからの最高裁判所への上告はなく、この判決は確定しました。

判決主文

  • 本件各控訴をいずれも棄却する。
  • 控訴費用は控訴人らの負担とする。

訴訟の要旨

原告らの請求内容は次のとおりです。

  • 第二期浄化槽整備推進事業のうち、彼方上地区に係る部分に関する公金支出、契約締結、債務その他義務負担の停止。
  • 既に執行した支払額及びその利息に関する、市から市長への返還請求の実施。

訴訟の主な争点は次のとおりです。

  • 第二期浄化槽整備推進事業に係る公金支出の違法性

主な争点に対する大阪地方・大阪高等裁判所の判断は次のとおりです。

  • 公共下水道事業だけではなく、地域の特性に応じて市町村設置型浄化槽の整備を図ることに合理性が認められることから、当地区の住民が下水道を利用できないとしても、これを不合理な差別的取り扱いということはできない。
  • 当地区において市町村設置型浄化槽の整備を行うとの判断が、基礎となる事実に重大な誤認があるとか、事実評価が不合理であること等により、著しく合理性を欠くことが明らかであるということはできない。
  • 当地区の世帯構成を見ると高齢者世代の比率が高く、将来的に世帯数・居住家屋数が減少するとの評価が、合理性を欠くということはできない。
  • 西側の市街化区域に接続する方法等による公共下水道の整備が、容易であるということはできない。
  • 特定の計算モデルによって算出された浄化槽事業のコストが、公共下水道事業のコストを上回れば直ちに浄化槽事業の合理性が否定されるというものではなく、事業効果等を総合的に考慮する必要があるべきで、政策目的や事業効果に照らして浄化槽事業のコストが著しく過大であると認めるに足りる証拠はない。
  • 河川等の水質汚濁の大きな原因が一般家庭から排出される生活排水であり、浄化槽事業が居住用家屋のみを対象としているからといって、水質改善の観点から浄化槽事業の事業効果が乏しいということはできない。
  • 現時点で浄化槽事業に対する反対が強いとしても、浄化槽事業によって生活排水対策を早期に実現することが不可能であるということはできないから、現時点においても、浄化槽事業が生活排水処理のための施策として著しく合理性を欠くことが明らかになったということはできない。
  • 浄化槽事業の受託事業者は、総合評価一般競争入札によって外部委員で構成する審査委員会の審査を経て選定され、その選定手続きの違法性を基礎付ける事情を認めるに足りる証拠はない。
  • 地方公共団体が生活排水処理のためにどのような施策を行うかについては、水質汚濁の有無・程度、対象地域の人口変動や市街化の動向・地理的要因・既存の生活排水処理施設の状況、当該普通地方公共団体の全体としてのまちづくりの方針・財政の状況等の諸事情の総合考慮により政策的・技術的な見地からの判断を要するということができるから、本件地区の住民が総じて公共下水道の整備を希望し、浄化槽の整備に強く反対しているからといって、本件事業が生活排水処理のための施策として著しく合理性を欠くことが明らかであるということはできない。
  • 控訴人(原告)らの請求はいずれも理由がないから、これを棄却した原判決は相当であって、本件各控訴はいずれも理由がない。

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