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本市の2歳児死亡事案に対する取り組み

印刷用ページを表示する掲載日:2024年6月28日更新
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1.課題と対策

(1)アセスメントと対応における課題

〇指摘

溺水事故が発生した時点や保育所を退園した時点、祖母から養護相談を受けた時点など、様々な時期に再アセスメントすべきタイミングがあった。

全体を通して経時的、総合的なアセスメントが必要であった。

アセスメントの際には家庭訪問の必要性について検討すべきであった。

〇原因

総じて祖母の養育負担が大きく、安全配慮不足による本児の怪我と捉え、祖母への養育負担の軽減と本児の発達保障のための所属先確保というアセスメントが固定化してしまい、経時的に家庭訪問の必要性、子どもの身体的な成長発達状況等も含めた再アセスメントができていなかった。

〇対策

子どもの発達状況、子どもと保護者の関係、家族の状況の変化など、経時的で総合的なアセスメントに努める。

(2)要保護児童対策地域協議会における関係機関との連携、重症度の変更について

〇指摘

個別ケース検討会議の開催や、令和3年12月「要保護児童」から「要支援児童」への変更は、その是非を検討すべきであった。

〇原因

保育所退園以降も定期的に祖母や本児と面談できており、その際の聞き取りなどにより家庭の状況は把握できていたと捉えていた。また、祖母は、本児の児童発達支援事業所利用に向けた手続きなどを本市の職員と一緒に進めていたことを、本児への養育に対する前向きな姿勢評価ととらえていた。児童発達支援事業所の利用実績や、身長・体重の伸びや怪我など客観的情報を含めて検討するなど、重症度を下げる際に個別ケース検討会議も含めて関係機関が丁寧に関わる必要があった。

〇対策

子ども家庭センターをはじめ関係機関と連携し、リスクに係わる情報が入ったとき等は個別ケース検討会議の開催の必要性について検討する。重症度を下げる際は、母子保健の情報等、客観的な事実もふまえて丁寧に対応していく。

(3)本市の組織・体制、人材育成における課題

〇指摘

子育て応援課における職員1人当たりの担当ケース数の多さや健康づくり推進課における多岐にわたる事業と体制の課題

〇原因

担当ケース数の多さも含め、組織全体としての業務負担が過度な状態となっていた。職員の精神的な負担も重なり、組織全体として機能が弱くなっていた。

〇対策

検証結果報告書の公表を待たずに、すでに人員体制の強化など様々な対策に取り組んでおり、今後も進めていく。

 

2.事件発生後の本市の取り組み

(1)人員体制(地区担当員等)の強化

令和4年7月以降、4名の専門職員を増員し、地区担当員及びスーパーバイザーの確保に努めた。スーパーバイザーは地区担当員を兼務せず、ケース進行状況を管理しながら知識や技術の育成を図るとともにリスク要因を見逃さないよう点検・精査の強化に努めた。

・地区担当員を7名から9名に増員。

・地区担当員を兼務しないスーパーバイザーを0名から2名配置。

※スーパーバイザーとは、児童虐待に関する知見を有し、部下職員や関係機関等に適切な助言・指導が行える指導的立場にある職員。

(2)職員の専門性向上のための研修

令和5年1月16日、児童虐待対応に従事する経験年数の少ない職員に相談対応の基本的姿勢等を学ぶ研修を実施した。また、実務者会議参加機関の職員に児童虐待におけるアセスメント・プランニング等を学ぶ研修を同年1月30日に実施することで、職員の専門性向上に努める。

(3)アセスメント力の強化

令和5年2月以降の新規受理会議や進行管理会議に外部の専門家のスーパーバイザー1名を招へいし、アセスメントや対応方針、各機関の役割等について強化する。大阪府市町村児童家庭相談援助指針に示された個別ケース検討会議開催の検討基準を令和5年1月の実務者会議より活用し、個別ケース検討会議を適切なタイミングで開催していく。

※アセスメントとは、子どもや家族等について、事実関係を整理するための調査等を実施し、結果を分析し見解をまとめたもの。

(4)家庭訪問の強化

令和4年7月以降、所属のない未就園児童のケースに対して、家庭児童相談員を中心に関係機関と協力し定期的な家庭訪問することで子どもの安全確認はもとより、養育環境の変化など、客観的な事実を見逃さないよう強化した。

(5)実務者会議の運営の見直し

令和4年8月以降の実務者会議において、特定妊婦・市主担(最重度・重度)ケース、所属のない児童のケースは実務者会議における協議頻度を4カ月に1回から、2カ月に1回に変更し、その他は進行管理会議で協議することで、関係機関が危機感をもってアセスメントを行うよう運営を見直した。

(6)富田林子ども家庭センターとの連携

令和4年12月の進行管理会議開催前の市内部点検に富田林子ども家庭センターに参加を要請し共同アセスメントを行うことで、ケースのリスクに対する認識を一致させるとともに、会議当日の援助方針や役割分担など効果的な運営を行うよう連携を強化した。

 

3.令和5年度の取り組み

(1)人員体制等の強化【充実】

更なる業務負担の軽減及びスーパーバイズの体制強化を図る。

・地区担当員は令和4年度末9名(事案発生前7名)から令和5年度末12名に増員。

・地区担当員を兼務しないスーパーバイザーを令和4年度末2名から令和5年度末3名に増員。

(2)アセスメント力の強化【充実】

令和5年2月以降の新規受理会議や進行管理会議に外部の専門家のスーパーバイザー1名(弁護士)を招へいし、アセスメントや対応方針、各機関の役割等について強化。

令和5年4月以降、対応困難ケースや個別ケース検討会議に指導助言を得るために、外部の専門家のスーパーバイザー1名(臨床心理士)を招へいし、職員のアセスメント力の向上及び共同アセスメントの強化を図った。

(3)関係機関との情報ネットワーク強化【新規】

令和5年7月より効率保育所の保育システムの情報を、また令和5年10月より健康づくり推進課の母子保健システムの情報を子育て応援課で閲覧することを可能とし、登園状況や個々の健診、予防接種記録などの客観的な情報を時系列で照らし合わせ、虐待の潜在化を検知する。

(4)職員の専門性向上のための研修【充実】

これまでの年2回の関係機関向け職員研修を年5回とし、各関係機関や子どもの年齢に沿った内容の職員研修を行うことで、子育て世代に応じた子どもや保護者の関わり方を学び、意識とスキルの向上を図る。

(5)見守りおむつ定期便の創設【新規】

2歳児女児死亡事案の発生を受け、健全な育成や虐待の未然防止の観点から、子育て世帯へのきめ細やかな支援は喫緊の課題と考えた。そこで、物価高騰等の社会状況における子育て世帯への経済的支援につなげながら、特に孤立しやすく虐待リスクの高い0歳児のいる家庭に、毎月おむつ等の子育て用品を届けながら声掛けや見守りを継続することで、子育ての不安解消を図り、孤立・虐待の防止や早期発見につなげる取り組みを実施した。

 

4.令和6年度の新たな取り組み

(1)組織の見直し【充実】

これまでの「こども未来室」を3課に編成し、「こども未来部」とした。また18歳までのすべてのこどもとその家庭及び妊産婦への相談等を担っていた旧相談係を「子育て応援課」に格上げするとともに、18歳までのこどもの発達支援に関する業務を行うための「発達支援係」を新設した。これに伴い、これまで発達支援業務を兼務していた地区担当員は、より相談業務に専念できるよう組織の見直しを行った。

(2)富田林市児童虐待防止マニュアルの更新及び関係機関への説明会の開催【充実】

平成28年度に作成した富田林市児童虐待防止マニュアルについて、内容の更新や「見守りおむつ定期便」などの新たな事業を盛り込むとともに、関係機関を対象とした説明会を開催し、虐待防止に向け改めて周知を行う。

※下記内容については、令和6年度以降も継続して実施している。

・家庭訪問の強化

 所属のない未就園児童に対し、地区担当員を中心に関係機関と協力し定期的な家庭訪問を実施している。

・実務者会議の運営の見直し

 特定妊婦、市主担当の最重度・重度ケース、所属のない児童について、実務者会議における協議頻度を4か月に1回から、2か月に1回に変更し実施している。

・富田林子ども家庭センターとの連携

 進行管理会議開催前の市内部の会議に、富田林子ども家庭センターに参加要請し共同アセスメントを行っている。

 

令和4年度児童死亡事案検証結果報告書(富田林市事案)を受けての市長コメント

本市2歳女児死亡事案から1年を迎えての市長コメント

本市2歳女児死亡事案から2年を迎えての市長コメント

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