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令和4年度児童死亡事案検証結果報告書(富田林市事案)を受けての市長コメント

印刷用ページを表示する掲載日:2023年1月20日更新
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本日、大阪府の検証専門部会より検証結果報告書の公表がありました。

まずは、昨年6月に亡くなられた小野優陽(ゆうは)ちゃんのご冥福を、改めて心からお祈り申し上げます。

報告書の冒頭に、「本事案が、府の子ども家庭センター、市の児童福祉主管課及び母子保健主管課等の行政機関の関与がある中で起きたことは残念でならない。幼くして命を絶たれてしまった子どもの無念さを念頭に、なぜ死亡に至る事態が起こったのか、死亡に至るまでに行政機関にできたことは何だったのか」とあります。

本市をはじめ行政の関わりがあったにもかかわらず、このような事案が発生し、結果として、かけがえのない幼い命が失われてしまったことは、私も市長として、本当に無念であり、重く受け止めています。
この間、大阪府の検証専門部会において、なぜ死亡に至る事態が起こったのか、本市にできたことは何だったのかなどの分析が進められ、本市といたしましても、検証作業に積極的に参加してきました。
その中で、検証委員の皆様からは、本市の対応について、様々な問題点と課題をご指摘いただきました。
不十分な対応や至らなかった点については真摯に反省し、改めなければならないと考えています。

主なご指摘としましては、対応上の問題点・課題として、3点の指摘がございます。

まず1点目は、アセスメント()と対応における課題でございます。

本家庭を支援していくにあたり、溺水事故が発生した時点や保育所を退園した時点、怪我が続いたとき、祖母から養護相談を受けた時点など、様々な時期において、再アセスメントすべきタイミングがあったこと、また、全体を通して経時的、総合的なアセスメントが必要であったこと、アセスメントの際には家庭訪問の必要性について検討すべきであったことが指摘されました。
本ケースについては、「総じて祖母の養育負担が大きく、安全配慮不足による本児の怪我」と捉え、祖母への養育負担の軽減と本児の発達保障のための所属先確保というアセスメントが固定化してしまい、経時的に家庭訪問の必要性、子どもの身体的な成長発達状況等も含めた再アセスメントができなかったことに課題があったと反省しています。
今後は、子どもの発達状況、子どもと保護者の関係、家族の状況の変化など、経時的で総合的なアセスメントに努めてまいります。

次に、2点目は、要保護児童対策地域協議会における関係機関との連携、重症度の変更についての指摘です。

ここでは、個別ケース検討会議の開催についてや、令和3年12月の時点で重症度を「要保護児童」から「要支援児童」に変更したことについて、新たな通所先での状況や、客観的情報等を経時的にアセスメントし、その是非を検討するべきだったと指摘されました。
本市としましては、保育所退園以降も定期的に祖母や本児と面談できており、その際の聞き取りなどにより家庭の状況は把握できていたと捉えていました。また、祖母は、本児の児童発達支援事業所利用に向けた手続きなどを本市の職員と一緒に進めていたことを、本児への養育に対する前向きな姿勢評価としてとらえておりました。児童発達支援事業所の利用実績や、身長・体重の伸びや怪我など客観的情報を含めて検討することと、重症度を下げる際に個別ケース検討会議も含めて関係機関が丁寧に関わる必要があったと反省しています。
今後は子ども家庭センターをはじめ関係機関と連携し、リスクに係わる情報が入ったとき等は個別ケース検討会議の開催の必要性について検討することを徹底します。また、重症度を下げる時には、母子保健の情報等客観的な事実もふまえて丁寧に対応してまいります。

最後に3点目は、本市の組織・体制、人材育成における課題です。

ここでは、こども未来室における職員1人当たりの担当ケース数の多さや健康づくり推進課における多岐にわたる事業と体制の課題が指摘されました。
本市としましては、検証結果報告書にも記載のあるとおり、担当ケース数の多さも含めて組織全体としての業務負担が過度な状態となっており、職員の精神的な負担も重なり、組織全体として機能が弱くなっていたことは、職員を指揮監督し、事務執行の責任者である市長として、責任を感じており、反省すべきと考えています。

また、これらご指摘いただいた対応・支援のあり方等の課題は、検証結果報告書の公表を待たずに、様々な取り組みも進めております。
まずは、人員体制の強化です。事案の発生以降、速やかに応援体制の確保に努め、現在4名を増員するとともに、経験年数の浅い職員に対して、児童虐待等における適切な対応や支援を効果的に実践するための研修を実施しました。また、4名の増員によりスーパーバイザー()を2名体制とし、地区担当員を兼務しないことで、個別ケースの状況をより丁寧に確認し、リスクアセスメントの強化に努めています。
加えて、本年2月の実務者会議からは外部の専門家としてスーパーバイザーを招き、アセスメントや対応方針、各機関の役割等について指導助言を受けることで、児童虐待対応の専門性、客観性の向上を図っていきます。
また、家庭訪問の強化として、保育所等に所属していない未就園児家庭に対して、家庭児童相談員を中心に関係機関の協力のもと家庭訪問を実施しました。
さらに、実務者会議等の運営の見直しとして、これまでは、新規ケース、状況の変化があったケースは毎月、その他は年3回の進行管理会議で協議していたものを令和4年8月以降は、特定妊婦や市主担の重症度の高いケース、所属先のない未就園児のケースは2カ月に1回の開催頻度とすることで、関係機関が危機感をもってアセスメントを行うよう対策を図りました。また、富田林子ども家庭センターとの連携強化として、進行管理会議前の内部点検を共同で実施することで、ケースのリスクに対する認識を一致させるとともに、会議当日の援助方針や役割分担など、効果的な会議運営を行うよう連携強化に努めました。
今後につきましても、更なる人員体制の強化として、虐待相談担当職員、スーパーバイザーの増員とともに、外部のスーパーバイザーをさらに1名確保し、個別ケース検討会議への参加や処遇困難ケースについて指導助言を受けることで、リスクアセスメントの更なる強化を図ります。
また、関係機関等との情報連携についても、健康づくり推進課の母子保健システムと、今年度に公立保育所に導入予定の保育システムから情報取得することで、発達成長曲線や登園状況などを把握し、時系列で照らし合わせることで、虐待の潜在化を検知していきます。
併せて、子どもや養育者の環境の変化などのタイミングで、適時、個別ケース検討会議を開催し、共同アセスメントと支援プランの検討に努めます。
さらに、人材育成として、市幹部職員や要保護児童対策地域協議会構成機関向けの研修をはじめ、保育所や小学校の教職員など、年齢別の視点で子どもや保護者の関わり方を学ぶ研修を開催することで、意識とスキルの向上を図ります。

本市としましては、これらの対策をはじめ、今後も様々な取り組みを検討・実践していくことで、二度とこのような死亡事案を発生させないとの強い思いで、市長の私が先頭に立って、全力で取り組んでいきます。

最後になりますが、2歳11カ月という幼い命が失われてしまったことを、私をはじめ職員一人ひとりが重く受け止め、決して忘れることなく、心に抱きながら、業務に努めていきます。
それが失われた幼い命に対する市としての責任であると考えています。

 

令和5年1月20日
富田林市長 𠮷村善美


※アセスメント
 子どもや家族等について、事実関係を整理するための調査等を実施し、結果を分析し見解をまとめたもの。
※スーパーバイザー
 児童虐待に関する知見を有し、部下職員や関係機関等に適切な助言・指導が行える指導的立場にある職員。

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