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木造聖徳太子立像

印刷用ページを表示する掲載日:2018年3月5日更新
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龍泉寺に安置されている木造聖徳太子立像は、太子二歳像としては最も古いものの一つで、大阪府の文化財に指定さえています。
40センチほどの像は、ヒノキの寄木造りで彩色が施され、胎内には正応4年(1291年)の年号をもつ如意輪観音像の版画が納入されています。
像は明治時代に一度小修理が施され、今日まで維持されてきたものの、目に用いられた水晶が痛んだり、体全体に墨が塗り込められるなど著しい破損がありました。そこで、このほど製作依以来、約660年ぶりに本格的な保存修理を行いました。
修理は東大寺の仁王像などを手掛けている(財)美術院があたり、大阪府と富田林市の補助により、約160万円の事業費で、6か月をかけて行い、今年6月に完了しました。
これまで像の製作年代は、別の納入物に記されている年号かから南北朝前期の興国7年(1346年)と考えられていましたが、製作手法などから、さらに古い鎌倉時代後期にまでさかのぼることが判明しました。
また、顔の部分にはクスノキが用いられていました。クスノキは神の宿る木として、古くから信仰の対象になっています。胎内に納められた版画の数々、顔部分のみクスノキが用いられていることなど、太子像に秘められた謎は多く、660年の歴史のミステリーを私たちに語りかけてくれます。

(平成4年8月号)

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