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瀧谷不動及び二童子立像

印刷用ページを表示する掲載日:2018年3月5日更新
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 市内には国が指定している重要文化財が、全部で四つあります。
 彼方にあります瀧谷不動明王寺のご本尊、不動明王とその脇を固める二童子立像はその内のひとつです。  昭和31年6月に指定を受けたこの仏像は、三尊とも桧で作られています。中央に安置される不動明王の身長は161.2センチあって、今の中学生ぐらいの大きさになります。西脇の童子は、それぞれ矜羯羅童子・制多伽童子と呼ばれています。身長はそれぞれ93.7センチ、97.3センチと言いますから、今の幼稚園児と、ほぼ同じぐらいの大きさになるでしょうか。
 像の造られた年代については、昭和34年に三体の修理が行われていて、このときに不動明王像の像内に墨書のあることが分かり、平安時代の寛治8年(1094)に藤原氏、錦氏、勝氏らが願い主となって、除病延命を願い造立したことが記されています。
 また、矜羯羅童子の像内には三通の紙片が納入されていて、長2年9月と辛うじて読める部分があります。
 このことから童子像二体は、不動明王像が造られた三年後の、永長2年(1097)9月に造られたものと推測され、したがって三尊がそろったのはこの時期ではないかと考えられています。なお、三通の紙片は損傷が激しいため、裏張りをして、現在は木製の筒に入れて、不動明王像の像内に納められています。
 このように不動王像としては、製作年代が明確であることとともに、三体が見事に調和していることや、内に秘めた怒りの表現など、平安時代後期の特色がよく現れているものとして、特に貴重な仏像であると言えます。
 現在、瀧谷不動明王寺では、大切なご本尊であるとともに、郷土の優れた文化財を火災から守るため、これまで収められていた厨子を耐火構造にするための工事が進められています。
 新しい厨子は内部に桐の板が張られ、自動開閉の扉や火災感知器を備えた、近代的な装備が施される予定となっています。
(平成11年10月号)

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