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大阪府指定文化財『仲村家住宅』

印刷用ページを表示する掲載日:2018年3月5日更新
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 平成9年10月に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された富田林寺内町の南部に仲村家住宅はあります。
 仲村家は、かつて屋号を「佐渡屋」と称し、享保19年(1734年)以降は代々徳兵衛を名乗りました。正徳5年(1715年)には、酒造株を取得し、その後、造り酒屋として著しい発展を遂げます。酒造米高は河内国では最高の2135石に達し、江戸市場を対象とした酒造業の組合長である「河内一国江戸積大行司」にも就任しています。
 幕末の寺内町では、「富田林の酒屋の井戸は、底に黄金の水がわく」という歌がはやったと伝えられています。寺内町の酒造業とその代表であった当家の繁栄ぶりを表すエピソードと言えます。
 また、江戸時代の寺内町は、文化的にも豊かな町でした。能や狂言、茶会などの催しが行われ、記録には、当時の催しとともに当家の名前が見られます。
 そんな文化の町であった寺内町には多くの文人墨客が訪れました。なかでも、仲村家には、頼山陽や吉田松陰といった時代を代表する人物が滞在したという記録も残っています。
 仲村家住宅には、天明2年(1782年)と3年の普請入用帳が残されており、記載内容と現在の建物が一致することから、建築年代はこの時代のものであると考えられます。そして、富田林寺内町では数少ない表屋造り(※)の遺構としても貴重で、代表的な町家の特徴を残していることから、平成2年3月に府の有形文化財(建造物)に指定されました。
 仲村家住宅は、貴重な歴史、建物を今に伝え、寺内町の景観に重要な役割を果たしています。
※表屋造り:表通りに面して店の棟を構え、その背後に連続して居住部分の棟を建てる家屋形式。
(平成15年10月号)

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