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旧杉山家住宅の襖絵

印刷用ページを表示する掲載日:2020年10月7日更新
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旧杉山家住宅は富田林寺内町の中で最も古い町家で、昭和58年に市が敷地を買収、建物は寄贈を受け、同年12月に国の重要文化財に指定されました。
その後、建物は昭和60年から3年近くかけて解体修理され、おおむね18世紀初めの姿に戻されました。
杉山家は、寺内町の創設に関わった「八人衆」の家筋と伝えられ、江戸時代中期以降は造り酒屋として栄えました。
杉山家に残された古文書には、杉山家邸内で浄瑠璃や能が上演されていたことが記されています。杉山家をはじめとする富田林の酒造家が中心となって、プロの役者らと共に自らも演じていました。
旧杉山家住宅の大床(おおどこ)の間には、民家としては桁外れの大きな床があり、壁には松が描かれています。杉山家に伝わる話によると、この大床は能舞台を模して作られたそうです。古文書に登場する人々も、この松の前で演じたのでしょうか。
大床の間と座敷を仕切る襖には、梅に鴨(かも)、芦(あし)に雁(がん)が描かれ、座敷側には床の間、床脇(とこわき)と一体をなした山水が墨絵で描かれています。
山水画には金箔の霞がかかっていますが、長い年月を経て落ち着いた趣があります。仏間の鳳凰の襖絵を含め、これらは同じ絵師の手によるものです。この絵師については、狩野派の絵師であろうということ以外あきらかではありません。

旧杉山家住宅襖絵旧杉山家住宅襖絵(部分拡大)


ところで杉山家住宅は、与謝野晶子・山川登美子・玉野花子・茅野雅子と並び『明星』の五才媛と称された歌人、石上(いそのかみ)露子(本名杉山タカ)の生家でもあります。
露子はいくつかのペンネームを使っていましたが、とりわけ「夕ちどり」の名前はよく知られています。夕ちどりといえば、大床の間の襖絵のうち大床に面した6枚の襖には、波間に飛び交う千鳥の群れが躍動感をもって描かれています。
この家で生まれ育った露子が「夕ちどり」と名乗ったのは、もしかすると、幼いことから慣れ親しんだこの襖絵に由来するのかもしれません。

(令和2年10月号)

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