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街角に漂う日本酒の香り

印刷用ページを表示する掲載日:2021年10月8日更新
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富田林寺内町を代表する町家に旧杉山家住宅(重要文化財)があります。この旧杉山家住宅の西側塀沿いに、石造りのあるものが置かれています。

杉山家住宅の西塀沿いにある石造物

 何気なく置かれていますが、これは江戸時代に使われていた精米機の一部です。この精米機は、シーソーの様な形をしていて、写真の石はちょうど支点になります。全体の形は凹型になっていて、2つの山の上にある溝は、シーソーの軸受けです。シーソーは、凹型に大きく窪んだ所に設置し、足で踏んで上下させることにより、臼に入った米を搗いて、お米を精米します。この使い方から、足踏み精米と呼ばれています。

足踏み精米機の見取り図

この足踏み精米機(唐臼)は農家などでも使用していましたが、活躍したのは酒造りの時です。日本酒を造るには大量のお米を精米する必要があり、酒蔵では足踏み精米機をズラリと並べて一度に大量のお米を精米していました。

杉山家住宅の庭園

 ここで写真の石と杉山家の繋がりが見えてきました。杉山家は、酒造業によって栄えたと言われています。杉山家に伝わる江戸時代の屋敷の見取り図をみると、敷地の一角には酒の仕込み蔵などと共に米搗場が設けられていたことが分かります。現在の杉山家住宅ではこれ以外にも酒造りで使われたと考えられる臼や、籾殻すりに使用した臼を庭石に再利用しています。

杉山家住宅の庭園

同様に、富田林寺内町の町中でもこれらの石を目にすることが出来るので、ぜひ探してみてください。現在、富田林寺内町では日本酒の醸造は行われていませんが、酒造りで栄えた往時の寺内町に思いをはせてみませんか。

(令和3年10月号)     

*過去の広報連載記事はこちら

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