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きのこ形ハニワ発見?

印刷用ページを表示する掲載日:2022年10月17日更新
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埴輪というと何を連想しますか。円筒形のもの、味のある表情や姿をした人物や動物などの形を象(かたど)ったもの、いろいろあるかと思います。
喜志南遺跡(喜志町1丁目)の2箇所で昨年度行った発掘調査では、大量の埴輪が出土しました。今回はその中から、先の調査で出土したちょっと面白い形をした埴輪の破片を紹介します(写真)。

埴輪の写真
破片は、直径14cm前後の円盤に、筒状の胴部を貼り付けたもので、円盤の縁からキュッとくびれた部分までの高さはいずれも約3cmです。全体的な形状は不明ですが、埴輪の上部は、きのこに似た形状となりそうです。その頂部に着目すると、(1)椎茸のようなドーム状に膨らむもの、(2)エリンギのように平らなもの、(3)扁平なドーナツ状になりそうなものと様々。円盤部には円弧を連続して組み合わせた線刻文が描かれています。
これら「きのこ形ハニワ」が一体何なのか、どれも同じ器種の埴輪になるのかどうかも、実は全くわかっていません。ただ、全国的に出土例の少ない大刀(たち)形埴輪や太鼓形埴輪の可能性を秘めていて、大刀形なら飾り大刀の柄頭(つかがしら)を、太鼓形であれば太鼓の叩き面を表現していると思われます。中には、高槻市の塚原B41号墳の太鼓形埴輪のようにドーム状になるものもありますが、そのほかの類例がなく、今は埴輪と同じ作りの不明土製品としか言えません。
円盤部の連弧文は、ぱっと見、古鏡の文様のよう。仮に破片の器種がすべて違うものだとすると、この埴輪の担い手たちが、埴輪を設置した古墳の意匠としてこの文様を使った可能性もありそうです。
調査では多くの円筒埴輪や朝顔形埴輪のほか、蓋(きぬがさ)や盾(たて)や家形の形象埴輪も出土しました。これらは古市古墳群の多くの古墳が造られた、5世紀のものです。
しかし、埴輪片はすべて鎌倉時代以降の整地層からで、古墳に伴うものではありません。恐らく中世の新田開発で近くの古墳などを壊し、その土で谷を埋め整地したのでしょう。
古墳時代の喜志は古市古墳群に連なる古墳が点在し、今とは全く違う情景が広がっていたと思われます。その中の一つに「きのこ形ハニワ」を飾る古墳があったのかもしれません。

(令和4年10月号)

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