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令和6年度施政方針

印刷用ページを表示する掲載日:2024年2月26日更新
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令和6年度施政方針 [PDFファイル/712KB][PDFファイル/737KB]

はじめに

 本日ここに、令和6年度(2024年度)の一般会計予算をはじめとする各議案のご審議をお願いするにあたりまして、市政運営に関する私の基本的な考え方と施策の概要を申し上げ、議員並びに市民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。
 まず、本年元日に発生しました能登半島地震は、最大震度7を観測し、甚大な被害を及ぼしました。この度の地震で、お亡くなりになられた方に、哀悼の意を表するとともに、被災されたすべての方々に、心よりお見舞い申し上げます。そして、被災地の1日も早い復旧と復興をお祈りいたします。
 本市から被災地への支援については、特に避難者が多く、本市の寺内町地区と同じく伝統的建造物群保存地区を有する石川県輪島市に直接ニーズを伺い、発災後速やかに救援物資として本市の災害備蓄品等をお届けするとともに、募金箱の設置や街頭募金に取り組みました。また、本日、2月26日現在、緊急消防援助隊大阪府大隊として、消防ポンプ自動車と市消防職員27名を派遣するとともに、避難所運営や給水活動の支援を行うため、市職員10名を派遣しました。引き続き、職員派遣を行うとともに、本市に広域避難を希望される方の受け入れ体制も整えるなど、今後とも大阪府をはじめ関係機関と連携し、本市としてできる限りの支援に取り組んでまいります。
 さて、昨年を振り返りますと、新型コロナの感染症法上の位置づけが5類へと移行し、人と人、人と地域をつなぐ活動が再開されるなど、まちに賑わいと笑顔が戻る一方、急激な物価高騰等が市民生活全般に大きな影響を与える中で、これらの対策についても鋭意取り組んでまいりました。今年度においても、市民生活への支援に努めてまいります。
 また、今日の社会情勢を象徴する大きな出来事として、金剛自動車(株)のバス事業廃止が挙げられます。乗務員不足や乗客数の減少による経営悪化などの問題は、日本が直面する人口減少や少子高齢化の深刻な影響を痛感し、当たり前に提供されていたサービスが、今や当たり前ではなくなってきていることを目の当たりにいたしました。
 昨年の所信表明でも申し上げましたように、本市はもとより日本全体で人口減少が続いています。しかしながら、「成熟社会」また「定常型社会」といわれる時代を迎えた今日、私たちは、決して後ろ向きになるのではなく、逆に地域それぞれの多様な発展の可能性が高まった好機ととらえ、私たち自身や地域が持つ価値に改めて目を向け、その可能性を広げ、他の地域には無い多様で新たな価値を生み出していくことで、富田林の持続的発展と人々の幸福が実現できるものと考えております。
 私たちのまち・富田林には、そのような価値と可能性があふれています。高度経済成長の時代を含め、かつての時代の「成功体験」によらない新たな時代におけるまちづくりとして、私は、富田林の人と地域が持つ多様な価値と可能性、その魅力を更にバージョンアップすることで、富田林だからこそ実現できる豊かな未来を、皆様とともに力強く創造していきたいと思います。
 それでは、今年度特に進めていきたいと考えております主な施策や取組について申し上げたいと思います。

目次

1.すべてのこどもを、みんなで応援するまちづくり

2.すべての市民の暮らしを支える住民福祉の増進

3.人とまちが賑わい、地域の魅力と可能性を開くまちおこし・地域おこしを推進

4.行財政改革・市役所改革の継続と市民サービス向上の両立を追求

1.すべてのこどもを、みんなで応援するまちづくり

目標1目標3目標4目標6目標10目標11目標16目標17

 国の「こども未来戦略」においては、若年人口が急激に減少する2030年代までに少子化トレンドを反転できなければ、人口減少が食い止められず、持続的な経済成長が困難になると指摘されています。
 本市としてもこの危機感を共有し、富田林版「こどもまんなか社会」の実現に向けた取組を庁内全体で推進するため、昨年私を本部長とする推進本部を設置し、「こどもまんなか応援サポーター」宣言を行いました。今年度においても、「子育て世代から選ばれる魅力あるまち・富田林」の実現に向けて、こども・子育て支援策を重点的に推進してまいります。
 本年1月9日には、大阪府内で初となる「見守りおむつ定期便」を開始し、大変ご好評をいただいております。引き続き、毎月おむつ等の子育て用品を届けながら、こどもの状況確認や保護者等への相談支援を行ってまいります。また、月齢に応じた育児のお役立ち情報を掲載した情報紙「見守り赤ちゃん」も一緒にお届けしてまいります。
 近年、子育て世帯の多くが「孤立した育児」の中で、不安や悩みを抱え、その支援を求める声も多くいただいております。それらの声を受けて、今年度より、0歳から2歳児の保育所等を利用しないお子さんを定期的にお預かりする「こども誰でも通園制度」の試行実施に取り組んでまいります。
 また、こども基本法並びに昨年末に閣議決定された「こども大綱」を踏まえ、社会全体でこどもの権利を理解・尊重し、こどもの最善の利益を図りながら、すべてのこどもたちの健やかな成長を保障するため、「(仮称)富田林市こどもの権利条例」の制定に向けて取組を開始します。具体的には、「(仮称)富田林市こども会議」の開催や年齢層に応じたアンケート調査、外部有識者による会議の設置等、こどもや関係者の意見を幅広く伺い反映しながら、時間をかけて丁寧な議論を重ねてまいります。
 さらに、市内東西にこども子育て拠点として整備を予定している「(仮称)こども・子育てプラザ」については、先進の好事例も参考に、具体的な機能や運営方法等について検討を進めてまいります。
 加えて、子育て世代が簡単・便利に活用でき、気軽に情報収集できるスマートフォン向け子育て支援アプリの導入に向けて、準備を進めてまいります。
 児童手当については、国において、所得制限の撤廃や高校生年代までの支給期間延長など、抜本的拡充が示されており、対象世帯への適正かつ円滑な支給事務に努めてまいります。また、国の「出産・子育て応援交付金」により、妊娠期から出産・子育てまで一貫して身近で相談できる伴走型相談支援に取り組むとともに、出産・子育て応援給付金についても継続してまいります。
 さらに、産後の母親の身体的回復と心理的な安定を促進し、母子とその家族が健やかな育児ができるよう、産後ケア事業を継続するとともに、新たに経済的困難を抱える妊婦に対し、健康保険が適用されない初回産科受診料を助成し、経済的負担の軽減を図ってまいります。また、就学前までの切れ目のない健診でこどもの特性を早期に発見、支援できるよう新たに5歳児健診を実施いたします。
 次に、児童虐待防止対策についてです。本市2歳児の尊い命が失われた事件から1年となる昨年6月29日、こども家庭庁参与の辻由起子氏を講師としてお招きし、市幹部職員等を対象とした児童虐待防止研修を実施しました。私自身も、改めてすべてのこどもの命を守りぬく決意を強くしたところです。今後も、児童虐待の防止に向け、職員の人材育成とともに、大阪府の検証専門部会の提言でも指摘がありましたアセスメントの強化に取り組んでまいります。また、富田林市児童虐待防止マニュアルを更新し、関係者の研修会を開催するなど、関係機関がより連携して対応にあたります。さらに、今年度より子育て世代包括支援センターと子ども家庭総合支援拠点を一体化した「(仮称)こども家庭センター」を設置し、母子保健と児童福祉が連携・協力を深め、全ての妊産婦、子育て世帯への一体的な相談支援を行ってまいります。
 こども食堂については、本年2月時点で市内13か所に開設され広がりをみせており、今後も、全16小学校区での開設を目標に、運営団体に対して助成してまいります。
 次に、市立幼稚園、保育所の再配置についてです。昨年6月議会に上程しました富田林市立幼稚園・保育所の再配置に関する条例改正案は、残念ながら否決となりましたが、今日、少子化が進展しこどもの数が減少する中で、市立幼稚園については、適正規模の集団確保並びに3年保育や預かり保育の実施、給食の提供を安定的に継続していくためには、園の再配置や適切な運営基準の設定などの取組が必要と考えており、今後の進め方についてお示しし、ご理解いただけるよう努めてまいります。
 また、保育所等については、待機児童を出さないように、令和元年度から5年度にかけて民間事業者により保育の受け皿を拡充したことで、年度当初の待機児童は令和3年度以降「ゼロ」を継続しています。引き続き、年間を通じた待機児童の解消をめざし、本年4月には、「(仮称)伏山こども園」が開園いたします。今後も、「富田林市立保育所民営化基本方針」に沿って保育ニーズを見極めながら民間の認可保育施設誘致と市立保育所の規模、定員調整など適切な保育の受け皿確保に努めてまいります。
 いずれにいたしましても、こどもたちの健やかな成長と希望する誰もがこどもを生み育てることができる環境づくりはもとより、市立幼稚園・保育所の持続可能な運営に引き続き取り組んでまいります。併せて、学童保育についても、多人数となったクラスの分割に伴う施設整備を行い、集団規模の適正化に取り組んでまいります。
 また、「第2期富田林市子ども・子育て支援事業計画」が令和6年度末に終了することに伴い、教育・保育及び地域子ども・子育て支援事業のニーズに応じた提供体制の確保や子育て支援事業の円滑な実施を図るため、「第3期富田林市子ども・子育て支援事業計画」を策定してまいります。
 次に、こどもの学びについてです。これからの社会を生きるこどもたちが、主体的に行動し、明るい未来を切り拓いていくためには、学校園における教育活動が果たす役割は非常に大きなものがあり、その充実が求められるところであります。令和2年度より進める「GIGAスクール構想」に基づき、AIドリル等を活用し、習熟度に応じた学習支援や学習意欲を喚起することで、個別最適な学びを進展させてまいります。
 また、いじめや虐待、心身の不調等、様々な理由により学校に行きたくても行けないこどもたちへの支援は重点的に取り組むべき喫緊の課題であり、解決に向けた施策の実施は重要性を増しています。そのような状況の中、こどもたちを適切にサポートするため、「教育カウンセラー」「教育相談員」「教育支援センター指導員」「スクールカウンセラー」「スクールソーシャルワーカー」「日本語指導員」等の専門人材の積極的な活用を進めてまいります。特に、不登校児童生徒への支援にあっては、教育支援センター(適応指導教室)はもとより、校内に教室以外の居場所を確保するため、市立全中学校にスペシャルサポートルーム(校内適応指導教室)を設置しており、一人ひとりのこどもに合った学びの場の充実のため、指導員の増員に努めてまいります。加えて、フリースクールへ通うこどもへの経済的支援についても進めてまいります。
 今年度より、小中一貫教育校である「彩和学園」でコミュニティ・スクールの取組を実施することで、地域とともにある学校づくりを一層推進してまいります。加えて、部活動の地域移行については、合同部活動の実施や部活動指導員の活用により、休日の部活動の地域移行に向けた研究や実践に取り組んでまいります。
 また、学校教育の充実に向けて、小学校で実施している水泳指導を民間施設に委託し、教職員の負担軽減を図るとともに、より充実した指導を行えるよう、市内3校でモデル実施を行ってまいります。併せて、小中一貫教育の推進に向けて、「彩和学園」での取組の成果をいかし、新たに他の中学校区で研究を進めるとともに、小中一貫教育の更なる充実を図ってまいります。支援教育の充実にあっては、これまでも実施している介助員・特別介助員の配置や通級指導教室の充実に加え、聞こえに困難を抱える児童生徒への支援についても充実してまいります。
 学校給食では、地元産の食材を活用した食育を推進し地産地消を一層進めるため、南河内産のお米の使用量を増やしてまいります。加えて、物価高騰による給食材料費の価格上昇分を支援し、安心安全で栄養バランスのとれた学校給食を維持してまいります。また、「ふれあい給食」については、学校給食への理解を深めていただけるよう、地域の皆様を招いてこどもたちと一緒に食べる給食交流や地域の方同士の交流の場とするなど、その機会を充実してまいります。
 中学校給食においては、現在の希望選択制から全員給食への移行等、実施方法も含め、こどもたちにとってより良い給食のあり方について、本市としての方向性を定めたうえで、持続可能性や財政負担も含めた検討を進めてまいります。
 また、学校給食無償化については、すべてのこどもと子育て世帯をみんなで支えるまちづくりの実現につながる重要な支援策であると認識しており、国からの交付金も活用し、学校給食への支援を継続してまいります。しかしながら、本格的に実施するには、財源等の課題が非常に大きく、国の動向にも注視しながら引き続き検討を重ねていく必要があると考えております。
 安心安全で快適な学習環境の整備をめざし、老朽化した学校トイレの洋式化や、災害発生時に地域の避難所にもなる屋内運動場のトイレの洋式化に引き続き取り組むとともに、不審者対策として、市立全中学校に防犯カメラを整備してまいります。
 また、学校教育施設の余裕教室等を有効活用した「地域総合拠点・みなよる」の開設について、今年度は新たに5か所(喜志小学校、東条小学校、高辺台小学校、伏山台小学校、藤沢台小学校)を整備し、全小学校区での整備が完了します。今後も活用を促進し一層地域活動を支援してまいります。
 さらに、こどもたちが多様な学びや体験を重ね、健やかに成長していけるよう市及び関係機関が連携して、「こどもまんなか夏休みイベント」をはじめ年間を通じたイベントの開催について企画検討を進めてまいります。​

2.すべての市民の暮らしを支える住民福祉の増進

目標1目標2目標3目標4目標5目標6目標7目標8目標9目標10目標11目標12目標13目標14目標15目標16目標17

 まず、行政と地域住民、福祉の専門職等がしっかり連携・協働して、一人ひとりの幸せと地域の理想の実現を追求する「増進型地域福祉」についてです。
 社会的孤立や制度の狭間、支援につながらない課題など、複雑・複合的な支援ニーズに対応するため、昨年4月から、高齢、障がい、こども・子育て、生活困窮分野の横断的な連携による重層的支援体制整備事業の取組を進めています。この取組を基盤としながら、地域全体で受け止め、支え合うことができる包括的な支援体制を構築するため、地域の関係団体や支援機関等と協働し、「地域総合拠点・みなよる」を活用して、市内16小学校区に「福祉なんでも相談窓口」の開設をめざしてまいります。
 団塊の世代が後期高齢者となる、いわゆる2025年問題で、成年後見制度の利用促進を図るため、今年度から富田林市社会福祉協議会において法人後見の実施も含めた「権利擁護センター」を開設し、多様な権利擁護ニーズに対応してまいります。
 また、令和2年度から開始した「校区担当職員事業」については、全小学校区で開催されている校区交流会議に引き続き参加しながら、地域の理想の実現に向けた取組を支援し、地域と行政のパイプ役として「増進型地域福祉」を推進してまいります。
 障がい者福祉では、障がい者が身近な地域で安心して暮らせるよう、引き続き市内3圏域に設置した障がい者基幹相談支援センターを拠点に、総合的な相談支援業務及び権利擁護に関する支援を行ってまいります。また、併設する「障がい者雇用センター」による就労促進や、「障がい者雇用会議」による農福連携などによる雇用の場の創出、更に重度障がい者の就労に必要な介助費用を補助する制度を導入するなど、雇用促進施策を効果的に実施することで、「障がい者千人雇用」をめざしてまいります。
 また、本年4月1日より、合理的配慮の提供が事業者にも義務化される「障害者差別解消法」や「手話言語条例」をはじめ、障がい者の人権についての理解促進・啓発に努めながら、共生社会の実現をめざしてまいります。
 高齢者福祉では、社会の認知症への理解を深め、認知症があってもなくても、同じ社会の一員として、地域をともに創っていくことができる「認知症と伴にあゆむ笑顔のまち」の実現をめざし、「第1期認知症施策推進計画」を進めるとともに、新たに認知症の症状や進行にあわせて、いつ、どこで、どのような医療や介護のサービスを受けることができるかを認知症の人や家族の視点を踏まえてまとめた「認知症ケアパス」を作成いたします。
 健康寿命の更なる延伸に向けて、令和7年度から12年間にわたる「第3次健康とんだばやし21・第2次富田林市食育推進計画・第2次富田林市自殺対策総合計画」を策定するとともに、特定健診の奨励や保健指導、各種がん検診の実施など、健康づくりに関する施策を効果的に実施してまいります。また、高齢者を対象に生活習慣病の重症化などを防ぐため、オーラルケアの充実を図ってまいります。
 受診率向上に向けて、特定健診については、健康アプリ「アスマイル」を活用した市独自のオプションを継続するとともに、がん検診では、リボン運動など「がん検診受診率向上集中キャンペーン」や節目の方への勧奨個別通知を引き続き実施してまいります。さらに、75歳の肝炎ウイルス検診未受診者に対しても勧奨通知を始めるとともに、最大5種類のがん検診を一度に受けることができるがんパック検診の実施やレディース検診の日曜日開催等、市民の皆様がより受診しやすい検診体制の充実を図ってまいります。
 介護予防・健康ポイント事業「あるこっと」について、今年度は継続する楽しみを感じながら参加できる仕組みづくりと実績データの分析・事業の効果検証を行ってまいります。
 次に、防災・減災対策の強化、市民の安心と安全を守るまちづくりについてです。能登半島地震では、建物倒壊、道路やライフラインが途絶えるなど甚大な被害が発生しました。本市におきましても、地域防災力の向上を図る取組をはじめ、総合的な防災対策を進めることで、より一層、災害に強いまちづくりに努めなければならないと考えております。
 災害対応の拠点となる新庁舎の整備については、現在、鋭意進めており、免震構造を採用することで、庁舎内の被害を最小限に抑え、被災者支援を含む行政機能をストップさせない災害に強く、安心安全な庁舎となるよう、今年度は耐震性能の低い現庁舎北館部分を除却するとともに、令和7年度から始まる新庁舎建設の準備に取り組んでまいります。
 児童館については、新施設の基本計画策定に取り組むとともに、利用者の安全確保の観点から、耐震性能が不足する既存建物の除却設計や仮移転も含めた運営方法の検討を行い、建設と除却の両面から効率的に事業を進めてまいります。
 災害への備えとして、新たな避難所の指定や、計画的な防災備蓄を進めるとともに、民間事業者・団体等との物資等の供給協力や災害支援に係る協定の締結についても継続して進めてまいります。また、学校施設へのマンホールトイレの整備や経年劣化した避難所誘導標識を順次更新するとともに、新たに防災アプリや一斉同報サービスシステムを活用し、災害対応業務の効率化を図ってまいります。
 令和4年度から計画的に進めております「災害時学校利用計画」につきましては、避難所に指定している全ての市立学校での策定をめざし、新たに3校の策定を進めてまいります。さらに、地域防災力の向上に向けて、防災リーダー、ジュニア防災リーダーの養成や、地域防災訓練への支援、「とんだばやし発見出前講座」による啓発を継続するとともに、消防団の充実強化を図るため、人材育成並びに消防車両等の装備を整備いたします。
 加えて、大規模災害時における緊急輸送路並びに広域的な道路ネットワークとなる「大阪南部高速道路」や「八尾富田林線」の早期事業化に向けて、引き続き関係自治体と連携しながら要望等を行ってまいります。
 次に、防犯対策では、町会・自治会等による防犯カメラや防犯灯の設置に対する補助、青色防犯パトロールの活動費助成などの経費補助を継続するとともに、依然として後を絶たない高齢者を狙った特殊詐欺対策として、自動通話録音装置の貸与等の取組を引き続き実施してまいります。加えて、更新時期を迎えた市設置型防犯カメラについては、市民生活の安全に支障をきたさないよう更新を行ってまいります。
 また、「犯罪被害者等支援条例」を制定し、犯罪被害を受けた方々への見舞金の支給や日常生活のサポートなど、伴走型の支援を行うことで、すべての市民の皆様が安心して暮らせるまちづくりを進めてまいります。
 都市基盤の整備といたしまして、下水道事業では、令和8年度の汚水整備の概成をめざして、公共下水道や公共浄化槽の整備、普及に取り組んでまいります。また、「ストックマネジメント計画」を改定するとともに、「浸入水対策計画」を新たに策定し効果的に事業を進めてまいります。道路事業においては、引き続き通学路の整備や市管理道路等の適切な維持管理に努めてまいります。
 交通政策につきましては、昨年12月20日、金剛自動車(株)がバス事業を廃止され、地域住民の皆様や市町村に大きな衝撃を与えました。代替交通の確保に向け、富田林市、太子町、河南町及び千早赤阪村の4市町村で構成する「地域公共交通活性化協議会」で検討を重ね、21日より途切れることなく新たな公共交通「4市町村コミバス」を運行することができました。ご協力いただきました国、大阪府、バス事業者をはじめ、全ての皆様に心より感謝いたします。今後は、運行を行う中で、乗務員不足への対応や運行経費に伴う財源の確保等、様々な課題が想定されますが、引き続き将来に向けた持続可能な公共交通の実現に向けて、新モビリティの導入など、国や大阪府の検討状況も踏まえながら、「地域公共交通活性化協議会」で検討を重ねてまいります。
 レインボーバスにつきましては、暫定的に東條線の補完運行のため減便しており、ご不便をおかけしているところでございますが、現状を踏まえ、今後のレインボーバスのあり方について検討を進めてまいります。
 また、交通不便地域における移動手段の確保について、「彼方上地区」においては、令和4年度に実証運行を実施しましたが、次回の実証運行に向けて、運行内容の見直し等、改善策を検討してまいります。また、「藤沢台七丁目地域」や「南旭ケ丘町」など、その他の地域においても、地域が主体的に取り組む持続可能な地域公共交通の導入に向けて支援を行ってまいります。
 次に、SDGs(国連「持続可能な開発目標」)を踏まえた「いのちと人権・環境」を守るまちづくりです。SDGsの実現に向けては、「SDGs未来都市・自治体モデル事業」を鋭意進めるとともに、「第2期SDGs未来都市計画」に基づき、公民連携、民民連携を一層進めてまいります。
 環境を守る取組として、カーボンニュートラルをめざし、引き続き家庭用燃料電池や太陽光発電システム、家庭用定置式蓄電池の設置補助を実施するとともに、プラスチック製容器包装の回収スポットの増加や新たに廃食油の拠点回収、ペットボトルの水平リサイクル等の取組を行うことで、ゴミの減量化や適切な資源循環を図ってまいります。また、公園や寺内町の照明灯のLED化に取り組むとともに、森林環境譲与税を活用し、木製の施設備品の設置や里山保全の理解を深める取組を継続してまいります。
 次に、本年4月にオープンを予定しています「多文化共生・人権プラザ」愛称「TONPAL(とんぱる)」についてです。この施設は、人権に関する総合的な情報発信拠点として、人権全般に関する相談窓口や講座の開催に加え、男女共同参画、多文化共生に関する取組を総合的に実施し、誰もがいつでも利用できる施設として運営してまいります。
 本市で暮らす外国人市民の人口は、この1年間で33%増加し、2,600人を超えています。多文化共生社会に向けた取組を強化すべく、外国人市民が、様々な困りごとをワンストップで相談できる多言語対応の「外国人相談窓口」を新たに開設するとともに、防災講座など外国人市民に向けた新たな取組を行ってまいります。また、「男女共同参画センターウィズ」の機能を統合し、困難な問題を抱える女性への支援として、女性を対象とした弁護士相談を開始いたします。
 多様な性を尊重する取組として、LGBTQをはじめとする性的マイノリティの人たちやその家族、支援者の居場所として、コミュニティスペース「にじいろブーケ」を引き続き開催するとともに、「パートナーシップ・ファミリーシップ宣誓制度」の活用が広がるよう、「LGBTQ・ALLYカンパニー認定制度」を通じて様々な団体と連携するとともに、利用可能なサービスの拡充を図ってまいります。
 次に、市の政策等の決定過程における女性の参画を促進するため、審議会等への女性委員の登用率の目標を40%以上と定め、積極的に取り組むとともに、全ての分野における男女格差の解消に向け、女性の活躍を推進し、男女が共に生きやすい社会をめざしてまいります。
 また、令和3年(2021年)より設置しています「外国人市民会議」に
ついては、第2期をスタートさせ、外国人市民の声をしっかりと市政に反映していくとともに、外国人市民への情報提供としてフェイスブックページ「やさしい とんだばやし」の充実など、「第1期外国人市民会議」からの提言書の具体化を図り、国籍や文化的ルーツにかかわらず、全ての市民がともに安心して暮らすことのできる多文化共生のまちづくりを推進してまいります。
 今年、姉妹都市提携60周年を迎える米国ベスレヘム市との交流を更に深めるため、富田林・ベスレヘム姉妹都市協会と協働して今年来日予定の交換学生と本市小中学生との交流や、オンライン式典の開催などを行ってまいります。​

3.人とまちが賑わい、地域の魅力と可能性を開くまちおこし・地域おこしを推進

目標3目標8目標9目標11目標14目標15目標16目標17​​​

 まず、「金剛地区の新たなまちづくり」においては、金剛中央公園・多機能複合施設の効率的・効果的な官民連携による整備手法の導入可能性を調査いたします。また、UR都市機構や南海電鉄(株)、地区住民等と連携し、社会実験の実施やウォーカブルビジョン案の策定に取り組むとともに、ピュア金剛跡のふれあい大通りと一体的で滞留性のある広場空間への整備を進めます。さらに、大阪大谷大学、阪南大学、UR都市機構との4者連携「KONGO Living Lab Project」により、学生による地区再生・活性化の取組を実施するとともに、寺池公園の魅力化など、地区住民が主体となった取組を引き続き支援してまいります。
 また、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに2025年に開催を控える大阪・関西万博の更なる機運醸成に向けて、観光分野をはじめとしたPR活動、情報発信に引き続き取り組むとともに、若者会議提案の「(仮称)とんだばやし万博」を開催するなど、万博を契機とした更なる地域活性化につなげてまいります。加えて、こどもたちが万博会場で国際社会の未来イメージを感じることで、将来の夢や希望を膨らませることができるよう、大阪府と連携し、市独自でも無料招待を実施してまいります。
 農業振興につきましては、「富田林市農業振興ビジョン」に基づき、「人と仕事と環境を育む農業都市・富田林」をめざして、担い手の確保や育成、農地の保全など各種施策を推進してまいります。特に、農業委員会と連携しながら、地域の農地の未来を描く「地域計画」の策定に取り組むとともに、新たな就農者を育成するため、市内農業者が中心となり運営されている「きらめき農業塾」を引き続き支援してまいります。
 加えて、本市には、府内有数の茄子・胡瓜の産地があり、昨年、農林水産省において農産物の地理的表示(GI)に登録された「富田林の海老芋」とあわせ、これらの特産品を市内外にPRするため、若者会議から提案のあった大阪なすを使った「なすティバル」や昨年に過去最多の来場人数を記録した「農業祭」を開催するとともに、新たな特産品の開発をはじめ農産物の生産から加工、販売に至るまで幅広く6次産業化に取り組む団体を支援してまいります。
 老朽化した農道や水路など農業用施設については、地域農業を支える農業者を支援するため、施設の改修や修繕に取り組みます。特に、石川に設置されてから約30年を経過し、経年劣化しているゴム製可動堰の補修や改修について、地元負担の軽減を図ってまいります。
 また、農業公園サバーファームについては、一旦休園となりますが、農業振興のみならず観光や地域経済の活性化にも資する重要な施設と捉えており、早期の開園に向けて、土地所有者など関係者との協議・調整を精力的に進めてまいります。
 観光振興においては、万博来訪者を市内へ誘客するため、日本人だけでなく外国人来訪者も含めた受け入れ環境整備や既存の観光資源に食や体験などの新たな要素を加えてパッケージ化したツアーの造成を行うとともに、万博関連イベントなどへブース出展し、観光及び本市の魅力などを発信してまいります。
 また、「じないまち四季物語」など四季折々のイベントへの支援や、「金剛きらめきイルミネーション」を引き続き実施するとともに、新たに市内観光スポットを巡るデジタルスタンプラリーを開催してまいります。
地域経済の活性化に向けて、新たな企業の誘致や雇用創出を促進するため、富田林版「企業立地促進条例」を制定し、運用してまいります。また、新たに空き店舗を活用した商店等の開設に係る経費を助成してまいります。
 次に、文化芸術・スポーツをはじめ市民文化活動の充実に向けては、昨年6月策定の「富田林市文化芸術振興ビジョン」の3つの基本方針「文化芸術をそだてる」「文化芸術をつなげる」「文化芸術にふれる」を実現するための「こどもと未来プロジェクト」として、こどもたちが音楽、演劇、美術、文学といった文化芸術を体験できる事業を実施してまいります。また、公共施設や市内の民間店舗に絵画作品をリレー展示する「まちかどミュージアム」を引き続き実施するとともに、新たなミューラルの制作にも取り組んでまいります。
 文化財の活用については、本市の貴重な歴史・文化資源である寺内町地区における町家の修理・修景事業を継続し、歴史的町並みの保存と活用を図ってまいります。また、今年度中の文化庁の認定をめざし、寺内町をはじめ市内各所の文化財について、将来的なビジョンや具体的な事業を定めた「文化財保存活用地域計画」の策定を進めるとともに、市内に点在する歴史資源の保全や文化財デジタルアーカイブ「おうちdeミュージアム」の充実に取り組むなど、「富田林市ミュージアム構想」を推進してまいります。
 市民誰もがスポーツを楽しみ健康で元気に暮らせるまちをめざし「スポーツ推進計画」の策定に向け、今年度より、パラスポーツや外国人市民を含め市民の健康増進やスポーツ活動についての意識調査やニーズの分析などに取り組んでまいります。また、総合体育館へのエアコン設置に向けた整備を進めてまいります。
 次に、若者が活躍するまちづくりについて、若者会議は今年度で4期生を迎え若者会議OB・OG会「心はいつも富田林」(愛称:こことん)は、富田林の心強い応援団となっています。昨年度の若者会議提案事業は、文化芸術をテーマに金剛東中央公園のミューラルを活用して実施した公民連携事業や寺内町を舞台に開催した謎解きイベントで、大いに参加者や来訪者を楽しませ、まちの魅力を発信しました。今年度は、「はたちのつどい」のバージョンアップ等に取り組み、若者とともに富田林の未来を創造してまいります。​

4.行財政改革・市役所改革の継続と市民サービス向上の両立を追求

目標4目標8目標16目標17​​​

 行財政改革については、「行財政経営改革ビジョン」を確実に実行するとともに、経営的視点に立った、効率的・効果的な運用性の高い行財政運営と質の高い行政サービスを持続的に提供していくため、令和7年度以降の次期計画策定に取り組んでまいります。また、「補助金等の適正化に関する指針(ガイドライン)」に基づき、より効果的かつ適正な補助金制度の構築に努めるとともに、更なる見直しに着手してまいります。さらに、「選択と集中」の観点から事務事業評価、施策評価により事業の点検・見直しを実施し、効果的に実施計画や予算編成につなげてまいります。加えて、新たな歳入の確保並びに市民サービスの向上を図るため公共施設へのネーミングライツの導入を進めてまいります。
 次に、公共施設マネジメントを推進するため、引き続き個別施設計画に基づく整備に取り組むとともに、今年度は、教育施設の適正規模、適正配置を含めた公共施設の総量最適化について、庁内横断的な体制で検討を進めてまいります。また、公共施設等総合管理計画に基づき、平成30年度策定の各公共施設の再配置方針を定めた「富田林市公共施設再配置計画」の中間見直しを行い、基礎データや再配置方針を更新してまいります。
 富田林霊園や西山墓地については、墓地の返還が増えていることを踏まえ、適正な維持管理を継続するため、効率的効果的な運営について検討を進めてまいります。
 また、「ふるさと寄附金」の更なる獲得をめざし、引き続き寄附者にとって魅力的な返礼品の開拓に努めるとともに、返礼品提供事業者との連携により、返礼品や本市の魅力を積極的にPRしてまいります。加えて、本市へのふるさと寄附を契機に、「ふるさと富田林応援団」への参加を促し、関係人口の増加を図るとともに、企業版ふるさと納税を活用し、地域活性化に資する事業へのご寄附を募ってまいります。
 次に、協働のまちづくりについてです。地域課題や市民ニーズが多様化する中、活力ある地域社会を実現していくためには、市民、町会・自治会、市民活動団体、NPO、企業、行政など、様々な分野の担い手がそれぞれの長所をいかし、協働していくことが重要であります。この間、「市民公益活動支援センター」とともに取り組んできた、市民公益活動や協働によるまちづくりを担う人材の育成を図る「Mira-ton´(ダッシュ)」は、今後も長期的な視点で取り組んでまいります。
 また、協働のまちづくりを一層進めていくため、「元気なまちづくりモデル事業補助金制度」について、これまでの成果を引き継ぎながら、地域課題の解決を図るとともに、多様な分野で活動する団体を支援する制度へと拡充し運用してまいります。
 次に、人とまちをつなぐ広報・広聴についてです。市民の皆様と行政をしっかりとつなぐことができるよう、「広報・公聴戦略ガイドライン」に基づき、機能の強化に努めてまいります。
 まず、市広報誌について、市民の皆様への「大切なお手紙」との考えのもと、まちへの愛着や誇りが醸成されるような紙面づくりに取り組みます。また、市公式LINEアカウントでは、新たな機能を活用し、ターゲットを絞り込んだ発信や、利用者が希望する分野に応じた情報発信を行い、より効果的かつ効率的な情報発信に取り組みます。併せて、市ウェブサイトやSNS、「まちかど掲示板」など様々な媒体による情報発信を戦略的に行うことで、「伝える広報」から「伝わる広報」への進化をめざしてまいります。
 また、広聴は、市民の市政参加の原点との考えのもと、「市長と語ろう!わがまち富田林」の開催や市政モニター制度「わがまちパートナー」を更に推進するとともに、公共施設等に設置している「富見箱」(とみけんばこ)のご意見や市長へのお手紙等について、市ウェブサイトに公開し市政の見える化を一層図ってまいります。引き続き、多方面から届けられる市民の皆様の声を大切にし、更なる市民サービスの向上に努めてまいります。
 次に、組織力の強化に向けては、複雑・多様化する行政ニーズに迅速かつ的確に対応できる職員研修の充実に努めるとともに、人材育成を目的とした大阪府等との人事交流を促進してまいります。また、働き方改革の一環といたしまして、職員の多様な働き方を支援する観点から、テレワークだけでなく、時差出勤や職員の社会貢献活動に関する兼業基準の設定などについても検討してまいります。
 次に、「富田林市DX戦略」を更に推進するため、大阪府のデジタル人材シェアリング事業を活用し、専門的な知識を有した外部人材を招聘し、具体的施策への助言や実行支援、計画の進捗管理を実施するとともに、職員のデジタル活用能力を高めていくための研修を実施するなど、デジタル人材の育成に努めてまいります。また、マイナンバーカードを活用した本人確認・電子認証サービスを導入し、これまで身分証による厳格な本人確認が必要だった行政手続きについても、いつでもスマートフォンからオンラインで申請できる仕組みを構築するなど、富田林市DX戦略の「行かなくてもいい窓口」の実現に取り組んでまいります。また、学校によるICTの活用を推進し、校務の効率化を図ってまいります。さらに、基幹系システムについて、国の策定する仕様に準拠したシステムへの移行を進め、自治体情報システムの標準化・共通化に取り組んでまいります。
 次に、広域連携の推進についてです。まず、消防力の強化をめざし、本年4月から本市及び河内長野市と、柏原羽曳野藤井寺消防組合の管内地域における消防広域化を実現するとともに、水道事業についても、持続可能な安心で安全な水道水の供給を目的に、引き続き大阪広域水道企業団との統合の取組を進めてまいります。また、「大阪のまちづくりグランドデザイン」においても示されている南河内フルーツロードをはじめ、南河内一体における観光資源や地域資源などの効果的な活用を図るとともに、様々な分野において、近隣市町村との広域的な連携を進め、地域全体の活性化に取り組んでまいります。

 以上、令和6年度の市政運営にあたっての基本的な考え方、並びに主な施策の概要について述べさせていただきました。その他施策全般につきましては、予算書にお示ししているとおりで、令和6年度当初予算総額といたしましては、
 一般会計で、45,010,000 千円、
 特別会計で、27,613,406 千円、
 公営企業会計で、8,999,808 千円 となっております。

 まちは、市民と行政の協働による創造物です。「富田林市は、もっともっと良いまちになります。」市民の皆様とともに力を合わせ、「人とまちがにぎわい、こどもたちをはじめすべての市民の笑顔があふれる、麗しの富田林」を創っていくために、一つ、ひとつ、未来に向かって、今後とも全力で取り組んでまいりますので、議員各位をはじめ、市民の皆様のご支援とご協力を心からお願い申し上げまして、私の令和6年度施政方針とさせていただきます。

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